[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

* * Life is not worth living without you. * -   * * - ndex
**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**
新年早々、私は筋金入りのバスケットマンを見つけた。




― お年玉 ―



バイトの帰り道、少し遠回りしてバスケットゴールがある公園の前を通った。


雪も降っていないし、よく晴れた日だったからもしかして、と思って。


案の定、ソコにはよく知った顔が合った。






「明けましておめでとう、藤真」


「おーミキ!あけおめ」


「何してるの?」


「見ての通り。お前もやる?」


「え、いいよ!」


「ホラ!」


「ぅわッ!!!」






反射的にギュッと目を瞑ってしまったけれど、


思ったよりもパスは優しくて、すんなりとボールは私の腕の中に収まった。


体育でしかバスケをした事がない私には


久しぶりに触れたボールはとても大きくて重たいものに感じた。






「どうした?」


「ん、ボールってこんな大きかったっけかなぁ~と思って」






右手で何度もボールを掴もうとするけど、


その度にボールは私の手から地面へと滑り落ちていく。






「おかしいなぁ…。中学の時はちゃんと掴めたハズなんだけど。寒いからかな?」


「っーかお前…」


「藤真は普通に掴めるんでしょ?」


「あぁ、まぁな」






右手で楽々とボールを掴んで、藤真はわざわざ


そのボールを見せる様に自分の顔の高さまで持ち上げた。


ちょっとムカつく。






「って言うか中学と高校ではボールの大きさが違うんだって」


「そうなの!?」


「そ。別にミキが小さくなった訳じゃないから」


「ふーん」


「あーさみっ!話してたら寒くなってきた」






そりゃあそんな薄着じゃ寒くない方が不思議だわ。






「俺もう少しここに居るけど?」


「見ててもいい?」


「いいよ」






バスケなんて全然解らないけど、踊ってるみたいにプレーしている姿を見ていたら


自然と拍手をしている自分に気がついた。


藤真は全然私の方を向いてはくれないけど、でもそれで良いんだ。







「もーボール見えねー」


「お疲れさま」






寒さで凍えている私とは対照的に、手の甲で汗を拭いながら彼は戻ってきた。






「なんか季節感のない男みたい」


「なんだって?」


「うー…!寒いッ!何か奢って」






って、何その顔。


そんな嫌そうな顔しなくたって良いじゃない。






「ごめん、冗談」


「あっ、そう?折角奢ってやろうと思ったのに」


「ほんと?!やっぱ奢って!」


「しょーがねーなー」






コンビニで私が真っ先に向かったのがレジの肉まんコーナー。


やっぱり寒い時はコレに限ると思う!






「一番高い奴が食べたいな~」


「お前人の金だと思って…」


「いいじゃん。お年玉なんでしょ」






ここに来る途中、急に奢ってくれるなんて


一体どういう心境の変化が起ったのか聞いてみたら


「本当に寒そうだったから、お年玉のつもりで」と言われた。


言い方は少し嫌味っぽかったけど、藤真のその優しさがかなり嬉しかった。






「一口食べる?」


「おう……ってコレ半分じゃん」


「エースが風邪引いたら大変ですから」


「…サンキュー」






半分になった肉まんを大事に食べながら二人仲良く帰路に着いた。






「じゃあ、ご馳走様でした。また学校で会おうね」


「おお」






俺明日もアソコに居るけど。



気のせいかもしれないけど、確かにそう聞こえた気がする。


不思議に思って振り返ると、自分の家に向かって歩いている


彼の後姿が少し離れた所に見えるだけだった。






明日もあの公園に行ってみよう。


そして、明日は私が藤真にお年玉をあげるんだ。


偶にはこういう正月も悪くない、かな?







End




スランプ中だけど、クリスマスに書けなかった分、頑張ってみた。
イマイチだ…。肉まん・あんまん等をまとめた呼び方って何だろう…。



モドル