* * Life is not worth living without you. * -   * * - ndex
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新年早々、私は筋金入りのバスケットマンを見つけた。




― お年玉 ―



バイトの帰り道、少し遠回りしてバスケットゴールがある公園の前を通った。


雪も降っていないし、よく晴れた日だったからもしかして、と思って。


案の定、ソコにはよく知った顔が合った。






「明けましておめでとう、藤真」


「おー!あけおめ」


「何してるの?」


「見ての通り。お前もやる?」


「え、いいよ!」


「ホラ!」


「ぅわッ!!!」






反射的にギュッと目を瞑ってしまったけれど、


思ったよりもパスは優しくて、すんなりとボールは私の腕の中に収まった。


体育でしかバスケをした事がない私には


久しぶりに触れたボールはとても大きくて重たいものに感じた。






「どうした?」


「ん、ボールってこんな大きかったっけかなぁ〜と思って」






右手で何度もボールを掴もうとするけど、


その度にボールは私の手から地面へと滑り落ちていく。






「おかしいなぁ…。中学の時はちゃんと掴めたハズなんだけど。寒いからかな?」


「っーかお前…」


「藤真は普通に掴めるんでしょ?」


「あぁ、まぁな」






右手で楽々とボールを掴んで、藤真はわざわざ


そのボールを見せる様に自分の顔の高さまで持ち上げた。


ちょっとムカつく。






「って言うか中学と高校ではボールの大きさが違うんだって」


「そうなの!?」


「そ。別にが小さくなった訳じゃないから」


「ふーん」


「あーさみっ!話してたら寒くなってきた」






そりゃあそんな薄着じゃ寒くない方が不思議だわ。






「俺もう少しここに居るけど?」


「見ててもいい?」


「いいよ」






バスケなんて全然解らないけど、踊ってるみたいにプレーしている姿を見ていたら


自然と拍手をしている自分に気がついた。


藤真は全然私の方を向いてはくれないけど、でもそれで良いんだ。







「もーボール見えねー」


「お疲れさま」






寒さで凍えている私とは対照的に、手の甲で汗を拭いながら彼は戻ってきた。






「なんか季節感のない男みたい」


「なんだって?」


「うー…!寒いッ!何か奢って」






って、何その顔。


そんな嫌そうな顔しなくたって良いじゃない。






「ごめん、冗談」


「あっ、そう?折角奢ってやろうと思ったのに」


「ほんと?!やっぱ奢って!」


「しょーがねーなー」






コンビニで私が真っ先に向かったのがレジの肉まんコーナー。


やっぱり寒い時はコレに限ると思う!






「一番高い奴が食べたいな〜」


「お前人の金だと思って…」


「いいじゃん。お年玉なんでしょ」






ここに来る途中、急に奢ってくれるなんて


一体どういう心境の変化が起ったのか聞いてみたら


「本当に寒そうだったから、お年玉のつもりで」と言われた。


言い方は少し嫌味っぽかったけど、藤真のその優しさがかなり嬉しかった。






「一口食べる?」


「おう……ってコレ半分じゃん」


「エースが風邪引いたら大変ですから」


「…サンキュー」






半分になった肉まんを大事に食べながら二人仲良く帰路に着いた。






「じゃあ、ご馳走様でした。また学校で会おうね」


「おお」






俺明日もアソコに居るけど。



気のせいかもしれないけど、確かにそう聞こえた気がする。


不思議に思って振り返ると、自分の家に向かって歩いている


彼の後姿が少し離れた所に見えるだけだった。






明日もあの公園に行ってみよう。


そして、明日は私が藤真にお年玉をあげるんだ。


偶にはこういう正月も悪くない、かな?







End




スランプ中だけど、クリスマスに書けなかった分、頑張ってみた。
イマイチだ…。肉まん・あんまん等をまとめた呼び方って何だろう…。



モドル