* *  I love you more than life itself. * -   * * - ndex
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かったるい学年集会の後は、もっとかったるいコトがある。


それは私が一番嫌いなモノ。








― 校則違反 ―








女子はスカートを膝まで伸ばし、男子はネクタイを結びなおす。


出席番号順に並んだ生徒が、名簿を持った先生達の間を急ぎ足で通って行く。


毎回恒例の服装・頭髪検査。


大半の生徒はメンドくさそうにしている。





「次―」





先生の声に反応して、一人の男子生徒が慌てて列の先頭に走って行った。





「はァ―鬱…」





指先で、少し色素の薄い髪を弄った。


別に染めている訳ではなくて、元々の髪色が茶色いだけ。


頭髪の届けは出していても、何が気に食わないのか


先生はやたらと私につっかかってくる。


……勿論、風紀委員も。



と言うか、風紀委員が率先して私につっかかって来ている気がする。





―」





キタ。


鬱な気分を全面的に出しながらゆっくり列の先頭まで歩いていく。


教職員の面々の所に行く前に風紀委員が立っている。


そそくさとその前を通って行く生徒は誰も、一言も喋らない。


それはあの男、雲雀恭弥が居るから。





「届け、出してますから」





私はこの男が嫌いだ。


視界の中にヒバリを入れないように細心の注意を払いながら彼の前を通りすぎる。





「誰も聞いてないよ」





見下したような笑みを浮かべてヒバリが言う。


……こういう所が嫌いなんだ。





「何時も突っかかってくるクセに」


「指導してるだけだけど」





先生の前を通りすぎてもヒバリとの会話は続く。


ヒバリが私の後ろに付いて来ている所為か、今日は先生達は何も言ってこなかった。





「指導?だったら制服くらいちゃんと着なさいよ」


「着てるよ」


「うちの学校の制服を着ろって言ってるんだけど」





スカートの丈を元の長さに戻しつつ投げやりな声で言う。





「それで、何の用?」


はヒバリを振りかえる事もしないし、歩く速度も緩めない。


それでも2人の会話は今までと何の変わりも無く続く。





「髪、直しなよ」


「……地毛だって言ってるでしょ」


「知ってる」


「じゃあ放っておいてよね!」





イラついた溜息を吐いて、自分の隣を悠然と歩くヒバリから


少しでも離れようと歩調を速めた。


教室まで後少し。





「残念だな」





少しの間、口を閉じていたヒバリが何時も通りの感情の無い声で言った。





「直したらもっと可愛くなるのに」





予想もしていなかった言葉の所為で、足がとまった。


今、なんて言った…?





「見たかったな」





……からかってるんだ。人をからかって面白がってるんだ。


そう自分に言い聞かせても、何故かどうしようもなく恥ずかしい。


身体の内側から一気に熱くなって行くのが嫌という程わかった。


こんな奴、嫌いなはずなのに。





「…………バッカじゃないの!」





そう言って、逃げるように教室に駆け込んだ。


ほんの数歩の距離だったけど、物凄い距離を走ったような気分で


心臓がヤバい。


もうほんと、どうしよう。













次の日。




「うん。可愛い」





髪を真っ黒に染めて学校へ行くと、ヒバリにそう言われた。


からかってた訳じゃないんだ。


そう思ったら今度は昨日とは比べ物にならないほど恥ずかしくなった。





「ありがと」


少し、ヒバリが好きになった気がした。











End













モドル