* * Life is not worth living without you. * -   * * - ndex
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「あー…ヤバい…」








机の中を一通りかき回してが小さく呟いた。


少しの間、机の中に両手を突っ込んだまま行動停止。


そして、再び先ほどの言葉を繰り返した。







「どうしたの?」


「神くん…ヤバイ。教科書なくした。今日当たるのに」









ゆっくりと深刻な顔でそう言うと、


神くんはあたしの顔を見て急に笑い出した。


あたし、そんなヤバイ顔してたのかな。









「いいよ。見せてあげる」








― 眠り姫 ―







まったりした雰囲気で少しずつ進んでいく授業。


時間が経つに連れて机の上に沈んでいく人の数も多くなってきた。


ちら、と横を見ると頬杖をついている神くんの横顔も


どことなく眠たそうに見える。










あたしと神くんは、席が隣って言うだけで、特に仲がイイ訳でもないから


会話もなく静かに時間が流れていく。


うとうとしながら黒板の文字をノートに写していると、


ペラッと教科書のページが勝手に捲れた。








「…」








ページが捲れた事に気づいているのか、いないのか解らないけれど、


一向に教科書を直す雰囲気がない神くんを盗み見ると、


退屈そうな顔をして前を向いていた。








あたし、そろそろ当たるしなぁ…。








心の中で神くんに「ごめんね」と謝って


あたしはそっと教科書に手を伸ばした。






すると







「あ」


「あ…!ごめん…!」







タイミングよく2つの手が教科書の上でぶつかった。


それが何だか気まずくてお互い、顔を見合わせて苦笑いをした。


結局、ページは神くんが捲ってくれた。
















「ねぇ、次の授業って何だっけ?」


「え、何?ごめん、ボーッとしてた」







そう言って神くんは少し眠たそうに笑った。


反射的にあたしも笑い返したけど、


眠たくて目がちゃんと開いてないような気がする。








「今日、ほんと眠いよねー。信じられないくらいだよ…」


「でもさん、わりと何時も寝てるよね?」


「うっ…よくお気付きで…」


「隣の席だしね。それに、さん結構こっち向いたまま寝てるし」


「うそ!?」


「ホント」








顔から火が出るってこーゆー事を言うのかも。


恥ずかしすぎて一瞬周りの音が聞こえなくなったよ…。








「起こしてくれればイイのに…」


「だってさ、何時も凄く気持ち良さそうに寝てるし、起こしたら悪いと思って」









にこっ、と神くんは人の良さそうな笑みを浮かべた。


あたしは全然笑えなかったけど。







「あ。そうだ、さん」

「なに?」

「あんまり無防備なカオしてると危ないよ?」








なんて、いつもの優しい笑顔で神くんは



さも当然の事の様にサラリと言ってのけた。


あたしだってバカじゃない。少しくらいならその意味が理解出来る。


あたしの脳みそはパンクしそうなくらい忙しいって言うのに、


それでも授業は何事もなかったかのように淡々と進んでいく。


全然笑えないあたしを一人取り残して。









End



モドル