* * I love you more than life itself. * -   * * - ndex
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暖かい風に乗ってやってくる春の匂いに


うつらうつら、目を閉じる。


大きな背に体を預けて、心地よい声に酔いしれていると、


返事が返って来ないのを不審に思ったのかな。


貴方はそっと、後ろを振り返って呆れたように溜息を吐いたね。


だけどその時、私は既に夢の中。






― ゆめうつら ―






少し背の高い貴方の首にそっと腕を伸ばせば


微かに香る上品な香の匂いに眩暈すら覚える。






このまま、ずっとこうしていられたら良いのに。






いつの日からか、そう思わずには居られないほど


貴方の存在は私の中でどんどん大きくなっていった。












「……!」






ぱっと目を開けると青い空と天井が飛びこんできて


奇妙な感覚に私はバランスを崩し、すがりつくように床に手をついた。






「わしの背を枕にするとは…」






そうだ、初めに好きになったのは……






「声だ」


「声?」


「そう、初めに好きになったのは声」


「…何の話をしておる」







眉を潜めて問い返すその不機嫌そうな声が


記憶の中のソレよりも随分大人びていて、


流れた月日をこっそり数えた。






「初心に返っておりました」


「初心に?」


「殿のどこに惹かれたのかを思い出していたのです」


「…そうか」






そのあとは、時の流れとともにアナタに惹き込まれていって、


知らぬ間にどんどん深みにはまっていった。


底が見えないくらいに深く、深く。






「わしははじめ、を小十郎みたいな奴だと思っておったぞ」


「こ、小十郎様ですか?」


「口煩くて心配性な所などそっくりではないか」


「…有難うございます」






あまり誉められてる気はしないけれど


小十郎様に例えられるって事はきっと誉めてくれてるんだろう。






「わしはな、の媚びない所が気に入っておるのだ」


「媚びない所、ですか…?」


「それだけではないが……まぁ良い」


「教えてくださらないのですか?」


「そなたが言うならわしも言う」


「童みたいな事を仰いますね」






フン、と鼻を鳴らして、彼はぷいと顔を逸らした。


怒られるかと思い、預けていた体を離すと


急に、倒れるかと思う程の重さが背に落ちてきてハッと息を呑んだ。


背骨を伝わってダイレクトに頭に届く、声を押し殺した愉しそうな笑い声。






「何処へ逃げるつもりだ?」


「逃げるなど…」


「逃がさぬ。次はわしの番だからな」


「…どういう意味です?」


「そなたはソコから動かなければ良いのだ」






そう言って、殿は少し身体を引いて


私の負担が軽くなるように計らってくれた。


背中を通して人の暖かさを感じながら目を閉じる。


私を眠りの世界へと誘った、暖かい風が吹いた。







End







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いや〜〜〜甘いですか?甘いですよね。

すっごい久しぶりに書きましたよ夢を!!!

リク消化って事で、猩さんにプレゼントですvv



モドル