* * I love you more than life itself.
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図書委員の私は、金曜日の放課後は図書室で過ごす。
窓から入ってくる赤みを帯びた光と、運動部の声が
ここが学校である事を、眠気でウトウトしている私に強く意識させる。
それでも、この静かな空間が眠気を誘って夢の中へ…
― 図書室 ―
「ねぇ」
カチャ、と金属特有の音が聞こえて、目を覚ます。
「やる気ある?」
冷淡な声に背筋に寒気が走った。
もしかして、この声、あの音は…。
「……」
恐る恐る顔をあげると、一番会いたくない人がいた。
神様って意地悪だなぁ、なんてのんきな事を思いながら
とりあえず、笑っておいた。
引き攣っていたこと間違い無しだが。
「笑って済むと思ってるの?」
「ごめんなさい…!!」
身体を縮こまらせては深深と頭を下げた。
やっぱ恐いよ、この人…。
「返却」
半ば投げるようにカウンターに本を置いて、ヒバリが言う。
「え?」
「早くしてね」
「はいっ」
焦りでモタつく手で彼のカードを探す。
ヒバリの視線が気になって、どうも頭が働かない。
只でさえ学年が学年だから、図書室の利用者が多くてカードを探すのにも一苦労なのに。
「そこ、違うクラスなんだけど」
「え?!」
「隣」
ヒバリに指摘されて、ふと横の箱を見るとその中の一番上のカードに
しっかりと彼の名前が書かれていた。
「あれ!?本当だ!何で!?」
「バカじゃない?」
「バカじゃない……と思います」
カウンターの上に置かれた本を取ろうとして、ふと気づいた。
周りに誰も居ないことに。
私が起きた頃には確かに数人は居たはずなのに。
ヒバリに恐れをなして逃げたんだな、きっと。
「えぇと…静かですね。ヒバリさん」
「図書室だからね」
「あ、あぁそうですよね。図書室だから当たり前かぁ…て言うか」
「早くしないと噛み殺すよ」
「…ハィ…!!」
裏返しで出された本を表に返して、題名を確かめた。
会話が途切れると、あまりの静かさに耳鳴りがしてくる。
運動部の声も、時間が遅くなってくるにつれて聞こえなくなってきて、
今はもう野球部の声しか聞こえない。
「今週末は読書しないんですか?」
「どうして」
「だって、何時も来てますよね。って言っても、金曜日しか居ないので後は解らないんですけど」
「金曜しか来ないからね」
「あ、そうなんですか?」
「うん」
ヒバリのカードと本を返却済みの箱に入れて、足元にあった自分の鞄を持つ。
使ったものを元に戻し、当番表に記録を残しながらが喋る。
「じゃあ、もう閉館なので私、帰りますね」
「僕も帰るよ」
そう言うとヒバリは特にを待つわけでもなく扉に向かって歩いて行った。
その後姿を見ながら内心ホッとする。
何だか今日は機嫌が良いみたいだ。
「ヒバリさん」
急いで図書室の扉を閉め、その後を追う。
電気くらい点ければ良いのに。
「次、いつ来ますか?」
彼の数歩後ろを歩きながらが言うが、ヒバリは何も答えない。
「私、その時は寝ないように気をつけますから」
コレ以上話し掛けられたら怒るかな?
そう思って、喉まで出かかっていた言葉を飲みこんだ。
「金曜日」
「え?」
「だから、金曜日」
階段を降りて、昇降口が見えてきた。
ここからはクラスが違う為、ヒバリとは一旦離れなくてはならなくなる。
「……金曜日、ね。じゃあ私、寝ないように頑張ります!」
さして興味も無さそうに、適当な返事を返すヒバリは
別れ際ギリギリでこう言った。
「気づいてないかもしれないけど、顔に寝跡ついてるよ」
「はぃ!?」
慌てて制服のポケットに手を突っ込んで、携帯用の鏡で自分の顔を
覗き込んだを見て、ヒバリは嘲笑染みた笑い声を漏らした。
「冗談だけどね」
「…」
遊ばれた事に気づいて、怒りの眼差しで顔を上げると
ソコに彼の姿は無く、まさかと思い下駄箱の方に目を向けた。
「早っ…」
下駄箱を開けるヒバリを視界に捕らえて、それを目掛けて走る。
「じゃあね、」
が下駄箱に到着するや否や、ヒバリはに背を向けて歩き始めた。
「ちょっ…て言うか名前……」
なんで名前知ってるの…?
靴を履き替えるのも忘れて昇降口から飛び出して辺りを見まわした。
ソコにヒバリの姿は無く、視界に映るのは、暗い道を照らす街灯と
遠くの民家の明かりだけ。
「何なのよ…」
とりあえず、金曜日を待とう。
その日が来たら、今日のことを聞けば良い。
下駄箱に戻り、靴を履いて帰路についた。
最後に聞いた言葉が頭から抜けなくて、ヒバリの嘲笑する声が聞こえた気がした。
End
友人リクより、ヒバリ夢でした。いまいちキャラが掴めてません。。。
モドル
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