* * I’m gonna hold you ’til your hurt is gone. * -   * * - ndex
**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**・,,・**
― 月の灯り、心の在り処 ―





「もうすっかり暗くなっちゃったね」


「あぁ、学校閉まっちゃったみたいだしね〜」


「警備員さん、大失態だね。あたし達に気づかないなんてさ」


「そうだねぇ」






暗闇、とは言いがたい薄暗い都会の空に煌く星。


冷たいコンクリートに背を預けてぼんやりとソレを見上げた。


フェンスの向こうに見える煌びやかな町の風景さえも


この星空の下ではちっぽけな物に見えてしまう。






「女って月を見るとシリアスな気分になるんだってさ」


「あ〜…そーかも。今ちょっとシリアス入りかけてた」


「綺麗だけどね」


「うん、だからなのかな?こんな景色きっともう二度と見れないよ」


「かもな」







しっとりした雰囲気が流れてどちらともなく寄り添い合い


友達の雰囲気から、男女の雰囲気へと変わっていく。







「帰りたい?」


「わかんない……けど、ココにいるのは嫌じゃないよ」


「嫌じゃない…ね」


「佐助は?帰りたい?」


「俺?まさか」






うっすら笑う横顔を見つめると、


空に向けられているその瞳の冷たさにゾッとした。







「ははーん、俺様に見惚れてたか」


「えっ…?」


「俺様ってばなんて罪作り♪」







さっきのが嘘だったかのように、あたしに向けられる瞳は温かい。


……時々あたしはこの人がわからなくなる。


親しくなってもう何年か経つけど、


未だに佐助の真意を見つける事は出来ないし


たまに見せる冷たい目の見つめる先が何なのかもわからない。


もっと色んなことを教えて欲しいのに……






ってさ、昔彼氏居たんでしょ?」


「え、何?急に…」


「でも何もなかったんだっけ?」


「…うん」


「キスも?」


「うん…そう。した事ないよ」


「じゃあ、俺としてみない?」







驚いて佐助を見ると視線がかち合って、身体が竦んで動かなくなる。


怖い…訳ではない。


唇が重なって、ざらついた舌が唇をなぞって強制的に中に侵入してくると


熱く激しいそれに慣れていないは、呼吸もままならなくて苦しげな声を上げた。


逃げようとすると優しく両手で頬を包まれて逃げ場をなくした。



……苦しいはずなのに気持ちが良いのはどうして?







「抵抗しないんだ?」


「っ…」







名残惜しむように唇を離すと、互いの濡れた唇が視界に入った。


冷たい夜風が濡れた唇をなでていく。







「ずっとシたいと思ってたから俺は嬉しいけど」


「……え?」


「ずっと特別に思ってたからね」







始めて見る悲しそうな微笑にたまらなくなって


そっと彼の背に腕を回した。







「あれ?もしかして両思いってやつ?」


「………わかんない…けど、佐助は好き」


「なんだよそれ…」







ははっ、と笑う声はそれでも嬉しそう。







「なんなら、試してみる?」


「何を…?」


「身体から始まる気持ちもあるかもしれないでしょ?」


「身体…ってえぇ…?!」


「・・・・・・ごめん、やっぱやめとく?嫌っしょ?」


「わかんない…」


「さっきからそればっかだな」


「だって本当に分からないんだもの…っん…」







さっきとは違う優しく静かな口付け。


目を閉じて佐助に身体を任せていると、


その甘い刺激で徐々に何も考えられなくなってくる。







「どう?」


「嫌、ではない…って言うか良いかも…?」


「わかった」







夏用の制服なんて脱がせるのは簡単で、口付けに寄っている間に


あっという間に白い裸体が露になる。







「想像以上に白いな・・・・・・これは華の咲かせがいがありそうだわ」


「あ、あんまり見ないでよ・・・・・・」


「こんなに可愛いんだ、見たくもなるさ」







の顔に朱が走るのを見て佐助は満足そうに笑った。


頬の手が首筋をなぞり、鎖骨、谷間へと落ちていく。


その後を唇が追い、くすぐったいような感覚に身を捩る。


鎖骨辺りにちりっ、とした小さな痛みを感じてが切ない声を上げた。







「そんなに固くなんなくていいよ」


「ぇ…?」


「すっごいドキドキしてる」







地面に投げ出していたの左手を掴んで


白い膨らみの上に押し当てると


の手を通して心臓が跳ねたのを感じた。







「やだ…っ!」


「大丈夫大丈夫、俺もだから」







その手をそのまま自分の左胸に持っていき


「ね?」と同意を求め笑う。







「ほんとだ…」


「安心した?」


「うん…よかったぁ…」







恥ずかしさで朱に染まった顔で脱力したように


柔らかに笑うが可愛くて額に唇を落とした。





















「大丈夫?」


「…うん」






このまま繋がっていたい気持ちは山々だけど


行為が終わってぼーっとしているを見て


気持ちを押さえ込んで自身を引き抜いた。








「佐助ぇ」


「はい」


「ふっ…なに改まっちゃってるの?」


「いや〜…はははっ、なんとなく」







地面に寝転がったままシャツのボタンを留める。


全部とめ終わって起き上がろうとするけれど、


上手く起き上がれないでいると佐助が手を貸してくれた。


その手を握ったままがゆっくり口を開いた。







「あのね佐助……あの、なんていうか…・・・・・・言いにくいな…」


「…」


「えっと…今ちょっと気がついたんだけど…」


「………あぁ」


「あたし、佐助好きだよ。その・・・同じ意味で。


なんていうか……さっきちょっと、幸せ感じた」


「マジ?」


「マジです……あぁもう、はずかし…っ」







繋いだ手を離して両手で口元を覆い、恥ずかしさに俯くと


すぐ隣から心底安心した、という様な長い吐息が聞こえた。







「よかった――……」


「…」


「マジで口利いて貰えなくなったらどうしようかと思っててさァ」


「…よかったね」


「あぁ、マジで俺ヤバイかな〜って思ってて」


「うん…順番は間違えちゃったね」


「でも結果オーライって感じ?」


「そうだね…って言うかあたし今いっぱい佐助の本音聞いたね」


「は?」


「これからはさ、もっといっぱい聞かせてよね?」


「・・・・・・そんな可愛く言われたら断れないな。でも」


「でも?」


「俺様ってケッコー嫉妬深いから」







引かないでねぇ〜なんて言って佐助が明るく笑った。








「さて…日が昇るまでまだまだ時間はあるし、愛でも語り合いますか」


「ふふ、そうだね」







そのまま手を繋いで寝転がって、星空を見上げた。


今宵、月の灯りに導かれて


あたしたちは本当の気持ちを見つけた。








終。







----------------------------------

アンケの結果ダントツで「裏」がトップでした!!

そして一番リクが多かったのが佐助でした。

生ぬるくてすいません;;キスメインですね(汗)

15禁くらいのノリで・・・はい・・・orz

もう色々だめだ…精進します…!

アンケートのご協力ありがとうございました!!



モドル