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I’m gonna hold you ’til your hurt is gone.
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I
ndex
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「お館様ァァアァ!!!」
「幸村ァァァア!!!!」
メキッ
「おぉォお館様ムァアアァ!!!」
「ユゥウキムラァァアア!!!!」
熱く叫びながら殴り合っている2人の横を
何もないかのように平然と通りすぎていく佐助。
この光景を教室の窓から眺める事で私の1日が始まる。
― はじまり ―
「おはよ!佐助」
「おはよ」
「また席借りてたから」
「どーぞ。あ、いいよ避けなくて」
「ありがと」
窓際に備え付けられているヒーターの上に軽く腰を下ろして
佐助は未だ殴り合っている2人を呆れ顔で見下ろした。
「飽きないねーあの人達も」
「いいじゃん!楽しくて!」
「そうだけどね」
「あ、これ休んでた分のノート」
「お!助かる〜!いつもありがとね」
「どういたしまして」
ノートに軽く目を通してその量を確かめ、
吐息と共にノートを閉じると
佐助は伺うような表情でに問う。
「で、今回は何を希望で?」
「購買に新メニューが出来たの。それを奢って欲しいな」
「はいはい、新メニューね。リョーカイしました、っと」
「やった!楽しみ〜!……あ、そろそろ幸村が来るね」
外を見ると校門から幸村の姿が消えていて
代わりに廊下から親しげに挨拶を交す声が聞こえてきた。
そしてその元気な声の主はすぐに教室に入ってくる。
「おはよう!!はぁ〜なんとか間に合ったでござる!」
壁に掛かった時計を見上げ、幸村がホッと息を吐くと
SHR開始の鐘が鳴った。
肩からカバンをかけたままベランダに出て幸村は大きく息を吸う。
「お館様ァァ!!幸村、間に合いましたぞ―――!!!」
遅刻してきた生徒を脇に抱えたまま
グッ、と親指を立ててそれに答える信玄先生。
学校中に響いているであろう大声もいつもの事となれば
気にする者等居るはずも無く、二人を除き時は静かに流れていく。
数分後、
幸村は机の間を縫うようにして私達の所へやってきた。
「おはよー。ほら、佐助が来たよ!」
「おお!久しいな、佐助!また上杉先生が怒っていたぞ」
「うそぉ?ナニ?俺また補習とかやらされんの?勘弁してよ」
「自業自得だね〜。頑張って!」
「某も影ながら応援しているぞ、佐助!」
「そりゃ、どーも」
「あ、先生来た!じゃまた後でね」
担任の片倉先生はハッキリ言ってかなり格好良い。
スーツをパリッと着こなす姿はまるでホストみたいだと思う。
物腰穏やかで、礼儀正しくて、ホントに良い先生で
男女共にかなりの人気を誇っているのに、未だ独身なのがかなり謎。
しかも、あのタラシで有名な伊達政宗先輩と親戚に当たるって言うんだから驚き。
あー、でも美男子同士だしね…。
「…と、は」
「え!?あ、な…何ですか?」
「…図書館から返却の催促が来ているので早めに返却してください、 と言おうとしたのですが…」
驚きに目を見開いて、柔らかに笑う。
「朝なので眠いのは解りますが、ボーッとしていると
大切な連絡まで聞き逃してしまいますよ」
「す、すいません…」
†
「よし!帰るぞ佐助!」
「はいよ。あ、は生徒会だっけ?」
「そうなんだぁ。ごめんね」
「別に良いさ。頑張れよ」
「うん、ありがと。じゃぁね〜」
「また明日!」
「うん、また明日〜」
大きく手を振る幸村に手を振って、
私は2人とは反対の方向へ足を向けた。
→
モドル