* *  Over the sidewalks Running away from the streets we knew . * -   * * - ndex
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「ハレルヤ、もっと早く走って!遅刻するから!」

「イイじゃねぇか別に」

「良くないよ!」



アレルヤに手を引かれて引きずられる様に走るハレルヤは

アレルヤの怒った声も何処吹く風で自分の世界に浸っていた。

アレルヤには悪いが今のこの立場、ポジションは俺的にかなり美味しい。

こんなことなら毎日ゆっくり家を出てしまおうか。




「もう…、寮でよかったよね。ほんと」

「そうか?」

「うん。じゃないと遅刻するし?」

「ってまだ怒ってんのかお前」

「まぁね」




さっさと靴を履き替えるとアレルヤはハレルヤを置いて

一人で教室へ向かう階段を上り始める。

さして反省もしていないハレルヤがアレルヤに追いついた時、

アレルヤは両手にプリントを持った自分達より大分小さな少年、少女と話をしていた。





「出たなクソガキ!!」

「クソガキではない!ソーマ・ピーリスだ、ハレルヤ・ハプティズム。いい加減覚えたらどうだ」

「てめぇなんぞクソガキで十分なんだよ!」

「だから貴様は低脳だと言われるのだ。少しはアレルヤさんを見習え」

「イイ度胸だな、ソーマ・イーリス…」

「ピーリスだ馬鹿者」

「まぁまぁ落ち着いて。ハレルヤも眠いのは分かるけど…」

「いやソレはちょっと違うんじゃないか」




空気の様に黙っていた刹那がふと口を挟む。

アレルヤが首をかしげるのとほぼ同時に1回目の始業チャイムが鳴った。




「アレルヤ、とりあえずその話は本人に直接聞いてくれ」

「分かったよ、ありがとう刹那」

「いや、別にいい」




日直か何かなのだろうか。

ソーマに急かされて刹那が早足で彼女の後を追って階段を降りていった。




「あのクソガキと話してたんじゃねーのか」

「いや、刹那と少しね」

「へぇー何の話を?」

「本の話かな」




ロックオンに貸したやつ、とは言えずにアレルヤは曖昧に笑って流した。

それに気づかないハレルヤはさして興味もなさそうに答える。




「わかんねーな。面白いか?読書なんて」

「僕は面白いと思うけどね?」

「へぇ」








教室に入ったアレルヤは挨拶をするのも忘れて自分の机の上に置かれたモノに釘付けになった。



「えぇー…?なにこれ」



薄ピンクの箱を白いリボンで飾った物凄い少女趣味な大きな箱。

我が物顔で机の上に居座るソレをアレルヤが

爆弾処理でもするのかと言いたくなる様な動きでそっと持ち上げた。

クラスメイトも奇異の目でアレルヤと謎の箱を見つめている。



「あ、それヨハン兄からだぜ!」

「……――ああ!!」



ミハエルの言葉に思い当たる節を見つけたアレルヤは

急いでリボンを解いて箱の解体作業に移った。

ミハエルがエンジンを組む様にアレルヤの肩に腕を回して

そっと「周りに見えない様にしてくれよ」と囁いた。

兄の威信のためなのだろう言葉に反論する訳も無くアレルヤが大きく頷くと、

それに同調して頷きながらミハエルが得意げに色々としゃべり始めた。

箱の中からひょっこり現れたのはうさちゃんのあみぐるみと1枚の手紙。



「うちの兄貴スッゲーだろ!?流石って感じだよな!」

「うん、かわいい…!すごく可愛いよコレ!」

「だよな!だよなあ!耳のこの辺りとか頑張ったって昨日言ってたぜ!」

「へぇ…やっぱり流石だな、師匠は」



一通り眺めた後、そっとうさちゃんのあみぐるみを箱に戻した。

満足げなため息を吐いたアレルヤの肩に手を回したままのミハエルは

ふと背後から殺気を感じて振り向こうとしたが、一瞬遅かった。

鈍い音とともに太股の裏に容赦ない衝撃が走った。



「いい加減離れろこのボケ!」

「ッ…てぇ!!急に蹴るんじゃねぇよ!!」

「ハイじゃあ蹴りますよー」

「うお、危ね…!!あぶ、あぶねーだろ!!殺すぞ!」

「あ、スメラギさんが来たよ」



ミハエルがハレルヤに蹴られた原因が自分にあるとは

ミジンコ程度も思わないアレルヤがのんびり言って着席する。

それでも尚いがみ合っていたハレルヤとミハエルはスメラギにより強制的に着席させられた。






今日もそんな感じで、毎日が過ぎていく。

勉強をして、遊んで、昼休みはみんなでご飯食べて。

昼ごはんの後の授業はちょっと眠い。



「アレルヤ、今日の夕飯は?」

「もう夕飯の心配なのかい?ハレルヤ」

「成長期なんだよ」

「って、僕も成長期だよ」


さらに言えば、僕のほうがハレルヤより少しだけ長生き。



「じゃあまた賭けでもしようか?」

「いいねぇ!俺はカレーが食いてぇ」

「僕はイタリアンかな」

「それ範囲広すぎじゃねー!?」



笑いながらハレルヤがいう。随分とハンデがあるのに負ける気はしないらしい。

根拠の無い自信に満ち溢れているのが何ともハレルヤらしいといえばそうなのだが。



放課後、教室で別れるときに同じ問いをもう一度繰り返して、二人でさっきと同じ答えを述べた。

カレーvsイタリアン



「罰ゲームは、負けたら絶対服従。それしかねぇよなあ?」

「うーん…まあ負ける気はしないし、いいかな」



バイトに行くハレルヤを見送ってアレルヤも委員会の仕事のために図書室へと足を向けた。

この勝負の軍配はどちらにあがるだろうか。




End


半端に終わってしまった。続きません。




モドル