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I’m gonna hold you ’til your hurt is gone.
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I
ndex
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「お、飯」
会長に吹き飛ばされて瀕死状態の人に
心配そうに声をかけているチカ先輩の手から
コンビニの袋を盗る政宗先輩。
お目当ての物意外には興味がないらしく
袋を適当な場所に置いて自分の持ち場に戻っていった。
― Go Go メロンパン2 ―
「使えぬ!」
「だから何怒ってんだよ!メロンパンならちゃんとあんだろォが」
チカ先輩と会長の言い合いをBGM程度に聞きながら
政宗先輩は携帯とにらめっこしながらのランチタイム。
なんでこの人はこんなにマイペースなんだろう…。
「Ah―…箸がね」
バァン!
大きな音で一瞬部屋の時間が止った。
振り返ると会長が机の上に手を置いていて、
あぁキレてやつ当たりしたんだな、ってすぐにわかった。
チカ先輩も微妙に恐がってるし。
「我はこのような物を頼んだ覚えはない!!」
「な、なに言ってんだよッ!」
「だから貴様は駄目なのだ!!」
「なんで俺!?」
「いちごメロンパン…」
そっと手を伸ばして争い事の種を手にとって読み上げた。
会長の目が凄く冷たい気がするけど気にしない。
「メロンパンじゃないですか」
「違う」
「メロンパンって書いてあるじゃないですか」
「中途半端な…!!イチゴなのかメロンなのかはっきりせぬか!」
イチゴなのにメロンパンだなんてありえぬ!
と会長が主張していると、急に政宗先輩が笑い出した。
先輩聞いてたんですか…。
「ガキかテメーは!」
「何?」
「Riceに旗が乗ってねぇって喚いてるように聞こえるぜ」
「こればかりは譲れぬ」
「、箸はあるか?」
「いつもの所に」
「Thank you」
Ha、と小ばかにしたような笑い声を残して
政宗先輩は悠然と会長の前を通りすぎて棚の中から箸を一本取り出した。
扉を閉める控えめな音と会長の舌打ちがほぼ同時に
私の耳に届いた。
「どこが気にいらねぇんだよお前は…」
おずおずとチカ先輩が聞くと
堰を切ったように会長が語り出した。
「解らぬか?イチゴなのにメロン?メロンなのにイチゴだぞ?
なんなのだその矛盾は!!我はその矛盾がゆるせぬのだ!!
そもそも中に入っている物がストロベリークリームという
地点でメロンパンとは言えぬ!!
味はイチゴ、形はメロン!?だからメロンパンだと申すのか?認めぬ!
ならば普通にイチゴパンと書けば良いではないか!
何故そう書かぬのだ!!!!
こんなもの、メロンパンの名を語っているまがい物ではないか!!」
袋の成分表を指差して、イチゴが占める割合がどれだけ多いかを
一通り力説した後、語り終えた会長が大きく息を吐くと、
つかの間の沈黙が流れた。
その沈黙をやぶったのはチカ先輩。
「なぁ……そもそも、メロンパンって何が入ってんだ?」
「……そのような事は問題ではない」
「知らないんだ?」
「散々力説してたクセになァ?」
「これじゃぁ説得力に欠けちゃいますよね〜」
「っーか零?皆無だぜ」
なんなんだろ、ほんと可愛いなこの人…。
睨まれても全然恐くないんだけど。
「あらら?お取り込み中?」
「佐助!?」
「お邪魔するよ」
両手にコンビニの袋を持ってひょっこり佐助が顔を出した。
突然の事に驚いていると、佐助も不思議そうに首を傾げた。
「コノヒトから俺が来る事聞いてないの?」
佐助に指をさされて政宗先輩はおどけた様に軽く肩を竦めた。
「忘れてたぜ」
「ま、そんなこったろうと思ってたよ」
パタンと携帯を閉じて政宗先輩が佐助の方へと手を伸ばす。
先輩は彼から一つコンビニの袋を受けとって、のっそり立ちあがる。
その間に佐助が袋をひっくり返して机の上にアイスを広げた。
「はい、の好きなイチゴ味」
「キャー!ありがと〜!!」
「どーいたしまして。食べさせてあげようか?」
「ん、いい」
「あ、そ…。つれないねぇ」
「Hey、メロンパン」
「…我に言っているのか?」
「お前以外に誰がいるよ」
「きさ……ッ!?」
小ばかにしたような顔をして、先輩がコンビニの袋を会長に投げた。
会長の手に渡った瞬間、中身が床に落ちる。
その中身はメロンパン。
「やるよ。その代わり、ソッチは貰うぜ」
「…好きにするがいい」
佐助の活躍(?)により会長は落ち着きを取り戻し
黙って所定の場所に座っている。
私達に背を向けて。
窓の外には夕張メロンのまがい物が浮かんでいる…。
←
→
あっ。会長にいちごメロンパン食べさせるの忘れてた。
矛盾が・・・!もう既に政宗が食べちゃったよ(笑)ゴメンナサイ!
夕張メロンのまがいもの=夕日です。
モドル