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I’m gonna hold you ’til your hurt is gone.
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I
ndex
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「今更なんだけど、どうして佐助は学校に来たの?」
「コレ出さなきゃなんなくてさー」
佐助は束ねたルーズリーフを指で摘まんで
ダルそうにひらひらと揺らした。
よく見ると、表紙に「古典」と書いてある。
「上杉先生か…」
「そーそ。あ、あとこれね」
「社会もか…。しかもこれ世界史じゃん!お疲れ様で〜す」
社会と言う教科の中で一番メンドクサイ教科が世界史。
それはもう、腱鞘炎になるんじゃないかってくらい
ぎっしりノートを取る。
教えてくれるのが片倉先生じゃなかったら
私、絶対やってらんない。
「という訳で職員室付き合ってくんない?」
「うん、いいよ」
― 人間探知機 ―
「職員室行ってきまーす!」
扉の処でみんなに聞こえる様に言って、後ろ手に扉を閉め、
夕焼け色に染まる廊下を談笑しながら歩く。
さっきまで大して気にならなかったのに、
吹奏楽部の練習する音が妙に気になった。
あぁ頑張ってるな、って。
「今違う事考えてるだろ?」
「え?そんな事ないよ」
「気付いてないかもしんないけど、
って結構考えてる事顔に出るんだよ」
「うそ!?」
「うっそ♪」
「なッ……!佐助ッ!!怒るよ!」
全然怒ってないけど
そんなフリをして佐助の背中を軽く叩いた。
「いたいってば」
「ホントは痛くないくせに!」
「まぁね」
「このやろぉ〜」
「はいはい、階段降りるから気をつけてね」
「な、なんか私すっごい馬鹿にされてない?」
「心配してるだけだってば」
階段を降りてすぐの所が職員室。
早く行って来なさい、って言って少し乱暴に送り出し
「会議中。静かにしましょう」
と書かれた看板に手を置いて佐助の帰りを待った。
「あら…?」
「あッ、帰蝶先生!こんにちは!」
「こんにちは。今日は部活か何か?」
「いいえ、生徒会で。あ、でもココにいるのは佐助の付き添いで…」
「あらそうなの。貴方も大変ね」
今から帰ります的なオーラを放っている帰蝶先生。
私も帰りたいなーと思っていると、
「そうそう」と帰蝶先生。
「なんですか?」
「伊達政宗くんね、今1年生の教室にいるわよ」
「え?何で……っていうかどうして解るんですか?」
「フフフ…どうしてでしょうね」
じゃあね。
と言って階段を下っていく帰蝶先生。
「お待たせ」
「佐助ッ!!!」
「どーしたの、そんな興奮しちゃって」
「今帰蝶先生が変な事言ったの!」
「うん、あの人はいつも変だけど」
「政宗先輩が今1年生の教室にいるんだって!」
「1年?なんでまた」
「さっきまで生徒会室で仕事してたよねぇ?」
「あぁ」
「気にならない?確かめたくない??」
「じゃあ急いで帰る?それとも教室行く?」
「うーん……。帰る!」
「よし」
全速力で階段を駆け上がって、
途中で佐助に追い越されて、時々急かされながら
廊下の角をいくつか曲がって
生徒会室の扉を開け、真っ先に政宗先輩の姿を探すが見当たらない。
「会長、政宗先輩は?」
「便所だとよ」
チカ先輩の言葉に頷く会長。
それを聞いて顔を見合わせる私と佐助。
「それがどうした?」
「じゃ、ちょーっと俺偵察に行って来るわ」
「うん!よろしく!」
「なんだぁ?」
数分後。
「ほんとにいたよ…」
信じられない、といった顔で佐助が戻ってきた。
佐助情報によると可愛い女のコと一緒にいたらしい。
きっとありゃあ新しい彼女に違いないと。
「帰蝶先生って何物…?」
「人間探知機と呼ばれているが」
「会長、知ってるんですか?」
「っーか有名だよなあ」
「知らぬ方が可笑しいが」
「あたし達可笑しいって、佐助」
「大丈夫、旦那も絶対知らないから」
だよねー、って言って笑っていると
会長がサラリと人間探知機について教えてくれた。
「どうやっているのかは知らぬが、
奴は学校中に情報網を張り巡らせているようで
何時どこに誰がいるのかを正確に掴むことが出きるのだ。中々あなどれぬ…」
会長が説明を終えたとほぼ同時、ナイスなタイミングで
政宗先輩ご帰還。
「先輩、どこにいたんですか?」
「1年の教室」
「便所っつてなかったか?」
「気が変わったんだよ」
「きっ……帰蝶先生って…凄いッ!!!」
「うん、中々」
「私これから皆を探す時帰蝶先生のところに行こ!」
「そうだな。我もこやつを探すのには骨が折れるでな」
「(自分ではうごかねェクセしやがって…)」
「どうした」
「なんでもねーよ。っーかもう帰ろうぜ」
時計を見ると、もう一般家庭の夜飯の時間をとうに過ぎていて
私達は急いで荷物をまとめ、学校を後にした。
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モドル