* *  Over the sidewalks Running away from the streets we knew . * -   * * - ndex
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「ハレルヤ、折り入って頼みがある」

「なんだ?物によっては聞いてやる」

「前髪を逆にしてアレルヤ風にお兄ちゃん(はぁと)って呼んでくれ」

「……」

「………」

「……ふ、仕方ねぇな」


ドキドキ ワクワク


「も〜、しょうがないなあ、ロックオンったら☆困ったおにいちゃんなんだからっ(はぁと)」







「うわあぁあぁっ!!!?」





大声を出して飛び起きる。びっくりさせたのかもしれない、二段ベッドの上がバタン、と音を立てた。

薄い漫画の壁の向こうからは本が落ちる音がした。

パニック状態の頭できょろきょろ部屋中を見回して、ホッと息を吐く。

あぁなんだ夢か……良かった……。






「ぃ゛…」





頭上からうめき声が聞こえた気がしてロックオンはハッと我に帰る。

刹那の押し殺した悲鳴が微かに聞こえるせいだ。

もしかしたら俺のせいで天井に頭を強打したのかもしれない。可哀想に。

……強打、強打と言えばハレルヤだ…。あれは強烈な夢だった。

夢は願望が現れるとよく聞く。俺はハレルヤに一体何を求めているんだ…!

例えアレルヤと同じ顔だとしても、ハレルヤではアレルヤの可愛さには敵わない、というか比べる事自体が罪だ。

ハレルヤに愛らしさを求める事自体が大罪、ティエリア風に言えば万死レベルだ。

それなのに……







「ハッ…!もしかして俺ちょー欲求不満!?」

「…さっきからブツブツ煩いぞ…ロックオン・ストラトス…お前、は…ぶつぶつ星人か…」






ぶつぶつ星人ってオイ!相当寝惚けてるなコイツ。声がかすれてる。

あれ?そう言えばさっきの夢って夜中にティエリアが見ていたアニメの…?






「ティエリア、おねむの所悪いんだがさっきお前が見てたアニメはなんていうんだ?」

「マジカルツインズ☆かっこお兄ちゃんと秘密の部屋かっことじ、だ」

「あぁ、やっぱり……」

「あれは良アニメだ…しかしあれは…あぁ何だか目が覚めてきた」

「いや!まだ寝てろ!今はお前さんのうんちくを聞ける状態じゃないんだ」

「安心しろ、語る気など更々ない」

「あ?なんだそれ。珍しいな、お前がアニメについて語らないなんて」

「そこまで好きではないからな」

「じゃあどうして毎週見てるんだよ?」

「オタクのたしなみだ」

「そうですか…」






オタクの世界も色々あるんだな、と思うと感慨深い。

あ、そういえば。





「刹那」

「…」

「大丈夫か?……刹那?」






返事がない。ただの屍…って違う違う!

気を取り直してロックオンはベッドから降り、そーっと上にいる刹那の様子を伺いに出る。

良かった、生きてる。






「………ロックオン、お前って奴は…」

「はは…んな怖い顔すんなって…」

「……」

「はは…」

「笑ってないで謝ればか」

「…あ。悪かったな、刹那。俺のせいで」





そうか、刹那が怒っていたのはそれでだったのか。

ごめんなさい、ありがとう。大事な言葉だ。

自分の事で一杯一杯だったのもあるが俺としたことがそんな大事な事を忘れるなんて。





「…全くだ」





布団を頭の上までずり上げて刹那はロックオンに背中を向ける。寝る体勢だ。

ロックオンは無意識に刹那に触れ、子供をあやすように数回優しく頭を叩いた。






「…ツンデレ属性か…」

「黙れ」

「男には萌えない。でもそうだなロックオンの属性は…」

「いや、聞きたくねぇから」





枕元の時計に目を向けるともうすぐ、あと数時間で何時もの起床時間になる。

とてもじゃないが眠れそうにない。そうだ、今日はヨハンより先に朝練に出て驚かせてやろうか。

そう心に決めてYシャツに袖を通した瞬間あの夢がフラッシュバックした。





「お兄ちゃん、か…。俺気持悪いなー」





例えそれがティエリアの影響だったとしても。

今日はあんまりあの双子に近寄らない様にした方が良さそうだ。

俺の精神安全上と面子の問題で。


End




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