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I’m gonna hold you ’til your hurt is gone.
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I
ndex
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「Hey!もう昼だぜ!」
スパーン!
と、デカイ音と共に部屋の中に入ってくる光。
それから逃げるように障子に背を向けると
デリカシーの欠片もない足音が近づいてきて、
背中に鈍い痛みが走った。
― 信用 ―
「Good morning」
「グッ…ぐっともーにんぐ…」
ココに来てから早3日。
1日目は緋色の着物のキモイまろに合った日。
2日目は政宗に「お前は戦利品」とか言われた日。
そして今日は3日目。
それなのに……なにこのデリカシーの欠片もない起こし方は!!
「もっと優しく起こしてもらえないでしょうかねぇ…?」
「文句があるなら自力で起きりゃあいいだろ」
「じゃあ携帯返してください」
「No」
乱れているであろう髪を手で梳いて、
掠れた声を直そうと軽く咳払いをしたついでに
思わずとても愚かな事を口走ってしまった。
「政宗って、女にモテなさそう…」
マズイ、と思った時には時既に遅し。
うう、美顔に青筋が見える気がします…。
「いひゃあぁぁぃぃ…!!」
「Ha―ha!よく伸びるぜ」
今度は顎じゃなくてほっぺか…。
なんて涙で霞む目で政宗を睨みつけながら思う。
「はっ…放せバカムネ…!!」
「Oh―いいねぇ、その目!」
何コイツ!?なんで喜んでるの!?
こんの…鬼畜!!!変態!!!!
私こんな人が治めてた所に住んでるなんて…。
……あ!!そうだ!
「ばか…政宗さん、ちょっとお話が…あぁヤダ!!いかないで!」
散々遊んでおいて後は放置プレイですか?
って、そうじゃなくて!
「ま…政宗様!!」
あ…、振りかえった。
なんだよコンチクショー。我が侭な男め!
「What?」
あはは!なんか可愛いよこの人!
様付けで呼んだら戻ってきたよ!!
「ニヤけてんじゃねぇ」
「……話って言うのは私のいた世界の事なんですけど…」
「あぁ」
「よく解らないけど、なんかココ、私のいた世界から見て
400年くらい前の世界ッポイです。」
「…で?」
「まぁ座ってください、政宗サン」
「……おいおい、随分と偉そうだなァ?」
「2度目はくらいませんよ!?」
「…何もしねぇからさっさと話せ」
流石、伊達男の語源になるだけあって
真面目な顔をしていれば格好良いなぁ。
いや普段から格好良いっちゃあいいんだけど、
どうも性格の悪さが邪魔して…。
「で、ね…政宗は私が400年くらい先から
来ちゃったって言ったら信じてくれる?」
「少なくとも、嘘吐いてるとは思えねぇな。こんなモンもあるし」
「あれ、意外とあっさり…」
こんなモン、と言って政宗は自分の手の中にある携帯を見た。
よっぽどお気に入りなのか、政宗は私の携帯を握って離さない。
現代に居たら、きっと依存症になるタイプだ。
「何か不都合でもあんのか?」
「ないけど…。政宗は絶対信用しないと思ってたから
どう説明しようか昨日から一生懸命考えてただけに
脱力と言うか驚きと言うか嬉しいのか悲しいのか解らないんです」
全部一息で言って、深く息を吸って吐いた。
「帰る方法が解るまで、ここに居させて欲しいのですが、駄目ですか?」
キチッと背筋を伸ばして、柄にも無くドキドキしながら
政宗にお願いすると、今度は政宗が深く息を吐いた。
「お前はよォ…」
「は、はい!」
あれ、なんで怒ってンの…?
私なんか不味い事言ったかな!?
「人の話ちゃんと聞いてんのか?」
「き、きき聞いてますとも!!」
「俺が言った事、覚えてるか?Do you remember?」
「えぇと……戦利品、ですか?」
「Good!戦利品は城に置いておくモンだぜ」
政宗の偉そうな笑い顔を見たら
自然に笑みが零れた。
しばらく雑談を交わした後、私はずっと気になっていた質問を政宗にぶつけた。
「ねぇ………この間の貴族みたいな人はどうなったの?」
「討った」
「討っ、た……。そう…」
「だからテメェは今ココに居るんだぜ」
「そっか…」
そりゃそうだよね。
私、戦利品だもん。
政宗が勝って、私がココに居るって事は、相手はもう居ない。そういう事なんだ。
「しけたツラしてんじゃねぇよ」
「ごめん」
「お前着替えたくねぇか?」
「…まぁ……」
私にとっては着慣れた洋服も、
政宗には窮屈そうな着物に見えるらしい。
「着替え持ってこさせてやるから待っとけ」
「うん、ありがとう」
政宗って、意外といい人かもしれない。
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モドル