* * I’m gonna hold you ’til your hurt is gone. * -   * * - ndex
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「えーと……失礼しました?」






そう言って目線はそのままで頭を下げる。


ひろーい客間の真ん中で政宗と机をはさんで


向かい合っている二人組みは


ココに来てから見た事ないし、雰囲気的に客人っぽい。


……って言うか、めちゃくちゃ格好いいんだけど!!!!!!






― 夫婦漫才? ―






「旦那、この人は…」






赤いハチマキをしたちょっと童顔の男の子と


私の世界でも珍しいオレンジの頭の人が


驚いた顔で私を見ていて、双方とバッチリ目が合った。


あらヤダどうしよう?!


…・・・と、思ったら






「破廉恥!!!」


「なんで!?」


「Shit!!畳汚してんじゃねぇ!!」


「破廉恥でござるぅぅうぅうぅぁ!!!」






ちょ…!!


別に破廉恥でもいいけど鼻血凄い!!鼻血!!


うッーわー……この量はギネス物かもしんないよ。


あっ、もしかして特技?






「あ、ごめんね〜これいつもの事だから〜。へへッ」






ヒラヒラと右手を振ってそういうオレンジの人。


貴方この人の連れなのよね…?冷たくない?


政宗の方が心配してるってどういう………


あっ、間違った。ヤツが心配してんのは畳だった。






ちょっと来い」






えっ?ここに?


鼻血で足の踏み場もないんですけど?






「そこら辺は適当に飛び越えて来い」


「政宗ってば実はエスパー?」


「いいからさっさと来い」


「はーい」






お邪魔しまーす、と言って赤い水溜りを踏まないように


着物の裾をちょっと持ち上げてヒョコヒョコと歩き、


政宗の横に立った。


………あ、うん。ここに座らないといけないのね?


この鼻血男の目の前に。


顔は好みなんだけどなぁ〜……






「へぇ〜これが噂のねぇ…どんな戦乙女かと思ってたけど、可愛いじゃん」


「は??何言ってるんですか!?からかわないで下さいよ…」


「うーん、褒めたつもりなんだけど。あ、もしかして結構無自覚?小悪魔系?」


「ていうか意味が解らないです」







なぁんか不思議な人だな〜、この人。


Myワールドが濃そうっていうか何ていうか。


まぁいいや。格好イイから。







「あ、あの〜お名前は…」


「ンふふ〜そんなに俺の名前知りたい?嬉しいねぇ〜」






……なんだコイツ。


「社交辞令です!!!!」


って言って今すぐ出て行きたいけど、


まぁ顔が好みだから良しとしようではないか。






「俺様は猿飛佐助。以後お見知りおきを、ちゃん」


「さ、ささささサルトビサスケ!!!?」


ちゃん俺のこと知ってんだー光栄だね」


「あぁいえこちらこそ!!うわ〜猿飛佐助って実在したんだ〜」






漫画によく出てくるけど、ずっと架空の人物だと思ってたよ私!


うーわー!!帰ったら友達に自慢しよ!!






「そ、それでそちらは……?」


「いや、先ほどは見苦しい所をお見せした…」






一応自覚してたんだ?






「俺は真田源次郎幸村でござる」


「……は!!?さなだゆきむらァァァア!!!!?」


「そうでござるが?」


「すっごーい!!!友達に自慢しよう!!!」


「はは、某はそんな大それた人物ではござらん」


「いや、十分凄いですよ!!はぁ…すっごーい……夢みたーい」






それに真田幸村っていうと、


もっと男らしい感じでゴッツイと思ってたんだけど


結構可愛いじゃん?っていうか、物凄く可愛い!


鼻血男だけど!!






「あの!!武田信玄公とかはいらっしゃいますか?!」


「お館様でござるか?甲斐に…」


「甲斐!?まさむね甲斐ってどこ?あいたーい!お話してみたーい!」


「おお、そなたもお館様を慕っておられるのか!」


「はいっvウチに本とかあるしvv特に父が大ファンで〜v」


「……あのさ、話の腰を折って悪いんだけど、伊達の旦那がすっごい顔してるよ」


「……・・・どしたの政宗!?」






物凄く脱力した顔をして、頬杖をついている政宗。


そして、そのしらーっとした瞳に映るあたし。


なんかアレだ。


正月に知らない親戚に囲まれて退屈してる子供。


例えるならそんな感じ。






「なんかよぉ、俺の時と随分と反応違くねぇか?」


「そう?あれでも結構感動してたんだけど…」


「I Can’t be」(ありえねぇ)


「嫉妬?」


「Who do you think you are?」(何様のつもりだ?)


様?」


「あァ、そりゃ最高だな」






客人の前だというのにグデッとして笑う政宗。


ほんとに、城の主がこんなんでいいのか?


ナメられんじゃないの?






「ああソレは無用の心配ってやつだぜ。


こいつ等の前で気ィ使ってもしかたねぇってだけだ」


「いや、だから何で考えてる事わかんの?」


「エスパーだから?」


「あーはいはいそーですかー」


「つれねぇな」


「で、お二人はどうしてここに?」






隣から「決まってんだろ」と声が聞こえたけど聞かないフリ。






「同盟国同士、仲良くしておいて損はないでしょ?」


「なるほどー遊びに来たって訳ですか」


「少し違うような気もするが……まぁ、そんな所でござる」


「へぇ〜・・・奥州は楽しいですか?」


「ああ、勿論だ。いい街だしな」


「ッ…!」






きゃっ……きゃわいい…!!!


なにその笑顔!!!


E・GA・O !!!!!!!


かっ、可愛すぎる!!!!


犬だ、犬!!わんこみたいだこの人!!






「ゆ、幸村さん!!」


「はい」


「そのうち甲斐に遊びに行きたいんですけど…!」


「おお、それは是非!いつでも歓迎致しますぞ」


「やったァ!絶対行こうね!政宗!」


「あー…そのうちな」


「今でもいいんじゃない?旦那」


「ああ、それもそうだな」


「えっ…!?」






ありがとう佐助さん!!


と心の中で叫びつつ期待の目で政宗を見つめる。


隻眼を曇らせて渋い顔をしている政宗を暫くジーッと見ていると


珍しく政宗が折れた。






「とりあえず、今日はそろそろ日も暮れるから泊まってけ」


「しかし政宗殿」


「話はそれからだ。別に急いで帰る必要もねぇんだろ?」


「それはそうでござるが…」


「なら決まりだな」






幸村さんに有無を言わさぬタイミングで


使用人を呼び用件を伝える政宗。






「ごめんね、伊達の旦那」


「かたじけない」


「言っとくが、お前等のためじゃねぇぜ。


ココにお前らと話したそうなヤツが居るからだ」


「え?私?」


「他に誰が居るんだ?」


「えっ……あ、ありがとうございます」






政宗の言葉に驚きながら小さく頭を下げると


上から「よし」と声が聞こえてきた。


なんだか私ペットみたいだ。






「なんかさー、熟年夫婦みたいだよね。旦那達」






ぼそっ、と言ったのは佐助さんで、


それに「あぁ!」と納得の相槌を打つ幸村さん。






「これが夫婦漫才ってヤツ?」


「もう、やめて下さいよ!」


「あはは〜、ごめんね?」






言葉の割りに、全然反省の色が見えない佐助さんと


何故かとってもジジくさい微笑ましそうな顔で見ている幸村さん。






「お二人は相当気が合いそうですよね」


「えー本当?うれしいなぁ」


「全然嬉しそうに聞こえないのは某だけか?」


「やだなー旦那。俺様感動で涙が出そうなんだって」


「そうなのか…?」






いや、あからさまに演技でしょ!!


まぁ……本人が納得してんだからそれでいっか。


んん〜、今日の晩御飯なにかなぁ…。







 



更新遅くなって申し訳ないです。亀でスイマセン(汗





モドル