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I’m gonna hold you ’til your hurt is gone.
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I
ndex
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映画の舞台は鹿鳴館の様な美しい洋館。
クラシックな家具と調度品が館には溢れ、
華麗で優雅な雰囲気をかもし出している。
ヒロインがドレスの裾を翻し、楽しそうに笑いながら
数名の友達と共に庭を通り館の中へと入っていく。
チリン
鈴の音。
ヒロインがその音に気づき、辺りを見渡すとお約束のように
ドアが大きな音を立てて勝手に閉まった。
― 鈴 ―
「くッだんねぇ…」
「ちょっと、まだ始まったばっかなんだけど?」
堂々と大きな欠伸をする政宗の独り言に
すかさず佐助が突っ込みを入れた。
それを軽くあしらうと政宗がめんどくさそうに立ち上がる。
佐助は別にそれを咎めるような事も、目で追いかけるようなこともせず
再び画面に視線を戻した。
雰囲気を出すために電気を消して、
カーテンを閉め切って、余計な光や音が入ってこないように
徹底的に準備をして臨んだこの鑑賞会。
それでも塞ぎ切れなかった光がカーテンの隙間から
微かに漏れていて、すでに恐怖でガタついている
には丁度いい癒しになってこの部屋に存在している。
チリン
再び鈴の音。
今度はこれが一定の間隔を置いて鳴り続いている。
どうやら何かが起こるときは必ずこの音が付いて回るらしい。
佐助は頭の中で冷静にそう考えながら、
被害者が悲鳴を上げるたびに身体をビクつかせたり、
クッションで顔を隠したりしているを横目でみる。
ああやっぱり見せてよかった、なんて思ったりして。
は強がりだから人一倍怖がりのクセに
隣に俺も旦那達もいるのに誰にも頼らないで
一人で耐えるんだろうと言う事はすでに予測済みで。
そういう意地らしい姿が見たくてこんな映画を見せてたりする
俺ってつくづく嫌な奴だよな、全く。
「あれ?旦那、随分と気が利くじゃない」
「これくらいはしてやんねぇと可哀想だろ」
机にカップを置いた政宗が、顎で指し示めした先にいる人を見て佐助が小さく笑う。
「アンタって人は、ほんっと怖いね」
「お互い様だろ」
うん、まぁ確かにね。
でもこの人が、鑑賞会の話を持ちかけた時に
俺の考えてる事が解からないなんて事ありえないんだよね。
だから俺達、今この人んちにお呼ばれしてるわけだし。
「感謝してよね」
「ウゼェ」
「ねぇ、今脅かしたらどうなると思う?」
「やめとけ。心臓発作でも起こしたらどーすんだ」
「言ってみただけー。俺だってそこまで…」
「佐助、煩い」
あれっ、旦那静かだから寝てんのかと思ってた(笑
なんだ結構真剣に見てたのね。
そういえばココ来る前までかなり笑顔だったな・・・・・・。
「……?」
今、映画とは違う鈴の音が聞こえた気がしたんだけど。
こんな映画のような、いかにもな音じゃなくて、
高く澄んだ綺麗な音。
そう、風鈴みたいな。
気のせいか…。
「…ウイジャ盤か…」
「なにそれ?」
「見てりゃわかる」
映画も中盤に差し掛かったようで、
セピア掛かった画面の中では、回想シーンなのだろうか。
見たことが無い少年達が悪戯半分で神様を呼ぼうと、
おそろいの衣装を身にまとって例の板を囲うように立っていた。
言うなれば、その板は外国版コックリさんのようだ。
『あなたは神様ですか?』
No
『ではあなたは悪魔ですか?』
Yes
『証拠を見せてください』
机の下を見てみろ
言われた通りに一人の少年が机の下を覗き込む。
が、いつまでたってもその場で固まったまま動かない。
しびれを切らした別の少年が机の下を覗き込むと
首がなくなっていた。
「やだッ!!!もー無理!ほんと無理!やめようよ!!」
「だめー」
「別の部屋にいるか?一人で」
「…………ソレも嫌……」
「っうか見なけりゃいいだけだろうが」
「好奇心とか……なんか、そんなんで…」
リン、リン
「あ、また」
「……鈴?いやしかし…」
リン
「ちょ、なに?!」
「これは奇怪な…!政宗殿!」
「いま良いトコなんだよ」
「って今更?」
「ああー!!だからヤダって言ったのにッ!!」
「ここの部屋からでござるな…」
開けても良いでござるか、と良いながら襖に手をかける幸村。
政宗からは何の返事もない。
それを良しと解釈したのか、幸村がそっと戸を開けた……。
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ちょっと怖いですか?怖いですね。佐助が。すいません。
次は恐怖のかけらも無いのでご安心を(笑)
ウイジャ盤の話は元ネタがあります。どこで読んだのか忘れたけど
どこかで読んだ本の話の一部です。
話全体としてはフィクションですけどねー笑。
モドル