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I’m gonna hold you ’til your hurt is gone.
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I
ndex
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「にゃー」
首に光る、金色の小さな鈴を響かせて灰色の猫が鳴いた。
凛としたこの音は、まさにあの音。
― 鈴 ―
「お前、知ってただろ?」
「ふっ・・・」
「笑ってないで答えろや」
一人だけさも楽しそうに笑っている政宗に
冷たくそう言い放ったのはあたし。
「いや、中々楽しかったぜ」
「ぶん殴りてぇ・・・」
まるでチッカ先輩が乗り移ったかのような喋り方、態度で
わなわな震えるあたしを佐助がなだめる。
幸村はといえば、さっきから例の猫を撫で繰り回して遊んでいた。
「それにしても・・・伊達の旦那が猫飼ってるなんて意外なんだけど?」
「コイツは俺のじゃねぇよ。元は元親が拾ってきたんだしな」
「それがどーしてココにいんのよ?」
「猫飼ってんのがバレて大家に怒られたって言ってたな・・・」
「あぁそうか、じゃあお前はあの時の・・・」
急に割って入ってきた幸村に視線を向けて続きを促す。
「シアン・・・だったか?お前」
にゃー、と猫が鳴いた。政宗が否定しない所からみて、
どうやらそれで合っているらしい。
しかし、にとってそれは一番聞きたかった事じゃなかったので、
それを表すように不機嫌そうに腕を組んだ。
「シアン」
政宗が呼ぶと、シアンが一瞬動きを止め、
幸村の腕をするりと抜けて、政宗の方へと走っていく。
随分懐いてるんだなぁと半ば関心しつつ彼等を見ていると、
ふいに政宗がシアンの首に付いていた首輪を外した。
「あれ?外しちゃうの?」
「普段はつけてねぇからな」
「・・・・・計ったね?」
「Ha、今更気づいたのか?」
「うぁ―――!!!!ムカつくっ!!
一体あたしがどんな思いをしたと思って・・・!!!」
「あぁ、良いモン見させてもらったぜ」
「くぁ・・・!!絞め殺してやりたい・・・!」
文章にするならば英語表記がふさわしい様な感じで、政宗が高笑い。
あたしはさっき同様、怒りの所為でわなわなと震えるばかり。
もし相手が政宗じゃなければ本気で首を絞めてたかもしれない。
政宗には到底敵わないからしないけど。
「政宗殿」
「なんだ?」
「どうして、その様な名前を?シアンというのは、水色みたいな色で、
灰色のコイツとは全く関係ないように思えるが・・・」
あぁ。
と言った後、少し間をおいて政宗が答えた。
「雨の日に拾ったから、だな」
「それならブルーとかレインとか〜・・・そんなんじゃないの?」
「は安直だねぇー」
「な・・・」
一人だけ納得したような顔で佐助がを小ばかにする。
多分と同じ事を思ったのだろう幸村もちょっと複雑そうな顔をした。
「もうちょっと頭使えよ、Ok?」
「・・・・・・なんかムカつくわ・・・」
「同じく・・・」
つまり、雨=青=ブルー。でもそれだと余りに安直で格好悪いから
ちょっと格好つけてシアンなんて名前にした訳だ。
答えに繋がる道のりを知ってしまえば、なんだか妙に納得してしまえた。
「じゃあ政宗先輩がこの子の名付け親ですね。
チッカ先輩がそんな小洒落た事思いつきそうにないし」
少し笑いながらが言うと、政宗も笑いながら「そうだな」と返した。
チャプターが流れるテレビを消して、時計を見ると時刻は結構な時間を指していた。
「もうこんな時間かー。ちょっと帰るのめんどくさいな・・・」
「泊まってくか?」
「え、いや・・・」
「あ、お前等は帰れ」
「うわー絶対言うと思ったね!!」
「・・・・・・そういえば佐助は今からお仕事だよね?時間大丈夫?」
「いや・・・・・・そろそろ限界」
「幸村は?」
「門限が・・・」
この箱入り息子が!!!!!
「じゃ、そーゆー訳で。またな」
「、危なくなったら本気で蹴り飛ばしていーから」
「あぁ、その男はタダでは死なんからな」
結局、断りきれなくなってお泊り決定。
この男の巧みな話術に騙された感がどうしても否めない。
「了解だよ!!」
「いいからさっさと帰れ」
「じゃあ、また明日ね」
笑いながら手を振って、
薄暗いマンションの階段を下りていく2人の後姿を見送った。
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モドル