* * I’m gonna hold you ’til your hurt is gone. * -   * * - ndex
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「会長ってさぁ、ツンデレですよね」


「は?」


「ここで働けるんじゃないですか?」






例のページを開いて会長に手渡す。


その見出しにはツンデレ喫茶の文字。


元から細い目を更に細めながら記事を読んでいる会長を


がにこにこしながら見ている。


と、突然会長が雑誌を床に叩きつけた。






「焼け焦げよ!」


「あぁっ!!!チカ先輩のなのにっ!!」


「滅せよ!」


「あぁっ!!踏みつけないであげてっ」






グリグリと利き足で雑誌をメタメタに踏みつけて


会長はご乱心のままそこから去っていった。




― 鈴 ―




「…って言うことがあってさぁ」






身体を半分に折り曲げて死にそうなくらい笑う佐助。


その隣で笑っちゃいけないと思いつつ


笑いをこらえきれない幸村が微妙な笑い方をしていた。






「幸村、笑っていいんだよ?」


「いや、しかし…!」


「なんか旦那不気味だよ?」


「む…、わかった」






次からは気をつけよう、なんて


幸村らしい生真面目な言葉を吐いて


ふぅ、と息をつく。






「で、その雑誌どうしたの?」


「それがね〜……弁償したいんだけど、ちょっと買いにくい内容でさぁ」


「買いにくい??」


「うん、ちょっと破廉恥なんだよね」


「そ、それは…!!!」


「あっでも最後のほうにちょっと乗ってるだけで……ね?」






は、破廉恥!と言った直後から一歩後退気味の幸村に


言い聞かせるように言った。







「なんなら俺が買ってきてやるけど?」


「ほんと!?」


「ただし、なんか見返りもらうよ?」


「OK!!頼りになる〜!」






なんか嬉しくないんだけど、と言っている


佐助に雑誌名を告げると、佐助が合点したという風に手を叩いた。






「あの時のアレか!」


「あの時とは?」


「旦那も居たっしょ?ほら、本屋でさ…」


「あぁ!あの破廉恥本の!!」


「破廉恥本!!?」


「それはコッチの話〜!へへっ」






男たちの間に何があったかは知らないけれど


破廉恥本なんていう新しい単語を聞けて


の辞書におにゅう単語が登録されたよ。






「じゃあ帰りに買いに行こう!」


「あれ、今日は帰れるのか?」


「うん、たまにはね」


「そうか!楽しみでござるな!」







**







「幸村は私とアッチ見てよう?向こうは破廉恥だから」


「ちょっとちょっと!誰のための買い物だと思ってんの!?」


「見ちゃいけません!」


「うおっ?!」


「ひどッッ!!もういいよ…」


「行ってらっしゃい♪」







ゲーム雑誌兼アダルトコーナーに入っていく佐助を他人のフリで見送って


幸村と向かった先はレンタルビデオのコーナー。







「見ろ、!ホラー映画特集だ」


「幸村こういうの好きなの?」


「嫌いではないな」






特別好きでもないが…と頭を悩ませる幸村。






「まぁ、好きなのかも知れんな」


「嫌いじゃないから?」


「そう」


「ふーん…じゃあ私もどっちかと言えば好きなのかも。嫌いじゃないし」


「へぇ、意外だな」


「うん、怖くて寝られなくなるんだけどね。…あ、これちょっと前に流行ったよね〜」


「・・・そうだったか?」


「そうだよ!!撮影中に何人も亡くなったっていう曰くつきのリメイク物!」


「ああ!そういえば流行ったな!」






あれも、これも懐かしいと様々なホラー映画を手にとって


どっちの方が面白そうかという話に花を咲かせた。


そしてふとが1本のビデオを手に取り、


笑顔が神妙な面持ちに変わった。





「これ……本物らしいよ」


「本物…見たのか?」


「ううん、友達から聞いたんだけどね、コレ見て本当に死んだ人居るんだって」






ゴクリ、と固唾を呑む。






「一般投稿なんだけど、電車の中でカメラを回したらそこで…」


「助けてくれ〜」


「っっっ!!!!佐助!!!?」


「なーにしてんのかと思ったら。なにこれ?呪いのビデオ?」






ふーん…とビデオを裏に返して説明を読む佐助。


そしてどこか意味深な笑みを浮かべて言う。






「借りてみよっか」


「え!!?」


「あ、お金は俺持ちでいーよ」


「しかし佐助!」


「えー?もしかして旦那、怖気づいちゃった?」


「何!?ありえん!!」


「じゃ、いいじゃん」






そう言うなり佐助は昨年流行ったホラー映画と、


例の呪いのビデオを持って会計へと歩いていった。


それを止めるべくして、が慌てて佐助の前に立ちはだかる。






「佐助!だめだって!やめようよ!!」


「何で?」


「だってほんとに死んじゃったらさぁ…」


「大丈夫でしょ〜」


「ヤダ!!駄目ッ!私泣いちゃうよ!?


ホラーでも良いから、せめて違うのにしよう!?」






暫くをずっと見ていた佐助だったが、ふぅ、と長く息を吐くと


「わかった」といってにビデオを渡した。






「…いいの?」


「こんなのでに死なれたくないしね」


「ありがと!」


「その代わりスッゲー怖そうなの借りるから」


「う、うん…!!」







**







「1週間レンタルだから、他の奴らにも声掛けてみるか」


「みたくないよぉお…」


「ダーメ!これが見返りって事で♪」


「そんな…!鬼!悪魔!」


「聞こえません」


「くそう…」






こうして、恐怖のビデオ鑑賞会が始まったのでした…。







 



モドル